1 監査とは

 

(1) 監査の目的

予算の執行は市の会計法規や通達などの基準に基づいて正確に行わなければならない。

この予算執行の正当化を確保するために、執行事務について検査を行うのが「会計監査」である。つまり、会計監査は予算執行のしめくくりであり、反省でもある。

(2) 監査委員

監査委員は地方自治法195条の規定により設置されている機関である。

(3) 監査委員の選任

監査委員は地方公共団体の長が議会の同意を得て、財務管理または事業の経営管理について専門の知識または経験を有する者及び議員のうちから選任することになっている。

飯田市の監査委員は、市議会議員のうちの1名、識見委員2名の3名が選任される。

(4) 監査の種類

監査には監査委員による監査と、内部統制としての指導監査・自己検査とがある。

(5) 監査の方法

監査委員の行う監査には定期監査、請求又は要求による監査、例月出納検査があり、監査の方法としては書面監査と実地監査がある。

(6) 市の監査委員による監査以外の監査・検査

① 県が実施する定期監査(地方自治法第199条第1項・第4項)

市町村の場合と同じく、年1回以上各教育事務所管内の小・中数校が抽出され、県教委や教育事務所の関連で実施される。主として給与・旅費を中心に実施され、監査日2~3週間位前に通知がある。

② 関東財務局長野財務部による調査

この調査の対象校は、調査日の1週間位前に通知され、調査される内容は県と同じく給与・旅費を中心に国の補助・負担対象となっているもの全般に及び、きびしい内容となる。各教育事務所管内の小・中数校を対象に2、3年に1回のサイクルで実施される。学校基本調査に報告された数字との関連事項は、特に正確さを要求される。

③ 会計検査院の検査(会計検査院法第23条)

この検査は、検査日、対象市町村教委、対象校等検査日前日、または当日にならないとはっきりしない場合が多い。内容は、校舎建築を中心に国の補助・負担の対象となっているものと、それに関連する一切であり、学校基本調査に報告された数字との関連事項は、特に正確さを要求される。

④ その他

以上の他に各種の法令、規則等で定められている諸監査、検査、調査があるので、いつ当面してもよいように常日頃から事務の執行について適正を期しておく必要がある。

また、法令で定めない「自己検査」等もあり、学校においてはこの種の検査等を校長、教頭、事務職員を中心に計画実施することが望ましい。




2 監査の内容

 

監査委員が行う監査の内容としては次のような事項が考えられる。

(1) 法令に従い事務が執行されているか。

(2) 行政効果および経済効果(学校においては「教育効果」か)があがっているか。

(3) 計数に違いはないか、また書類は整備されているか。

(4) 予算執行の状況は適正であるか。

(5) 経営管理状況は適正であるか。

(6) 現金および物品の出納状況は適正であるか。

(7) 決算は適正であるか。

(8) 財産の取得・管理および処分は適正であるか。

(9) 学校の組織および運営の合理化ははかられているか。




3 監査・検査にあたっての注意事項

 

(1) 収 入

小中学校関係の収入は殆どないのが普通だが、給食費、学年学級費等の学校集金についても公費に準じて厳正に処理する。

(2) 支 出

正規の手続きにより、予算に基づいた支出を行う必要がある。会計法規や、予算の内容に合致した支出であっても、最小の経費で最大の効果をあげるよう努めていないとみなされる、いわゆる無駄使いは不当事項として指摘される。

現在ある物品で充分間に合うのに新しい物品を購入したり、せっかく購入した物品を有効に使用せず、遊休化したり、翌年度以降購入しても間に合う物品を購入したりするのはこの例である。

支出に関して直接的な帳票の他に、それを裏付ける記録や証拠も整備しておくことも必要である。

(3) 契 約

物品の購入契約または工事の請負契約などを締結するときは、その購入価格、または契約高が不当にならないように心掛ける必要がある。これを防止するため一般競争入札によることを原則としているが、特例の場合に限って指名競争入札、随時契約、せり売りなどが行える。

学校では、少額の購入が多いので随意契約による場合が多いが、購入価格には常に意を用い、不当に高いものや不良品には注意しなければならない。

(4) 現金監査

現金監査は現金出納についての監査で、現金出納簿と現金有高との照合を第一の目的として、現金出納簿を中心に監査する。

学校では市町村予算にかかる公金はほとんど現金を取り扱わないが、給食費、学年費、PTA会費等金額も多額になるので、その区分、出納には特に注意をすること。

(5) 物品監査

物品監査は物品出納についての監査で、物品台帳(備品検査一覧表)と現品との照合が主たる目的である。

監査をうける心得としては先ず登録もれを無くすことが必要である。また、物品の所在が不明であったり、滅失していたり、処分済みになったりしないよう注意する必要がある。

管理区分に従って各責任者を決め、年2回(9月、3月)すべての物品について点検をすること。

(6) 国の負担金・補助金

国の負担金、補助金の対象になった経費については、市の監査委員による監査以外に会計検査院の検査、関東財務局の調査等を受けることがある。

国の負担金、補助金等の交付申請書、実績報告書の作成等は学校が直接行うことはないが、その基礎となる資料の提供は求められるし、会計検査院の実地検査の対象となることもある。また、関東財務局の調査では、教員の給与、旅費等を中心にほとんどすべての帳票の実地検査が行われる。

これらの検査で特に注意しなければならないのは、負担金、補助金の額の算出に用いる基礎数値の誤りである。児童生徒の数、学級数、校舎の坪数をはじめ教職員給与に関係するものなど、常に正確を期しておきたいものである。

なお、監査等の結果、是正はもちろん損害賠償のあることも忘れてならない。

※補助金で購入した物品はみだりに処分しない。




4 飯田市における定期監査

 

(1) 監査時期

飯田市定期監査の対象校は当該年度の9月に通知される。

(2) 監査日時の変更

監査日時の予定変更は原則として許されないが、万一その必要のあるときは教育委員会と相談し、学校相互の交換等により早めに調整処理すること。

(3) 監査資料の作成

① 監査該当校

ア 指定される日までに、資料1部を学校教育課へ提出する。学校教育課より修正個所の指示があった場合は、それを整備した上で、学校教育課へ指定部数を提出する。

監査参考資料(学校概要等)は当日提出する。(指定部数)

イ  資料の印刷は特に指定しないが、丁寧に鮮明で見やすい資料を作成すること。

ウ  記載内容については、配布される通知をよく読んで、数字的な誤りがないよう充分注意すること。

エ 監査資料が出来上がったら、昨年度の資料と比較して、数字等に大きな変動がある場合は、その理由を適確に把握しておくこと。

オ 前回の監査の際、指摘なり、注意された点については、再び繰り返されないよう留意すること。

② 監査該当外の学校

上記①に準じ、毎年度資料を作成し、指定される日までに学校教育課へ指定部数を提出するとともに、学校保管する。

              (年度ごとのデータが累積され、翌年度以降の資料に反映していくため)

③ 各担当者や各システムから監査用として毎年回収する資料について

ア 図書館関係

(ア)「図書調」「図書館利用状況調」… 年度末作成分

イ 備品管理

(ア)備品管理システムで“年度更新処理”をする前に、「備品現在高調」「備品出納簿」「備品現在高調書」をプリントアウトする。

(イ)「備品現在高調」はシステムの「監査用印刷」ボタンにより作成し、監査用資 料とする。

(ウ)「備品出納簿」の備考欄には、“購入”“処分”等を手書き記入し、監査用資料とする。

(エ)「備品現在高調書」の件数・金額は、システムの備品登録画面右下の取得額計と一致しているか必ず確認する。

(オ)「備品現在高調書」は3月末に学校教育課から指定される日までに備品現在高データとともに提出する。

ウ 郵券受払簿

(ア)現地検査時には、監査年度の受払簿を用意しておく。

(イ)受払欄は月々締め、事務担当者印、決裁印を押印する。

(4) 監査時に用意する帳票類

① 郵券受払簿と郵券

② 前渡金受取口座の通帳

③ 飯田市立小中学校集金規程第11条の規定による備付帳票(会計簿、預金通帳、収納及び支払の事実を証する書類、決算についての報告書、その他)

④ その他指示のあったもの

(5) 監査資料様式

学校教育課からメール送信されたものを使用する。

(6) 現金及び物品等検査

① 現金及び物品等検査は定期監査の予備検査として別の日に行われる。

② 「物品及び現金等検査記録票(兼検査調書)」を作成し、現地検査対象校は当日、検査員に提出する。現地検査対象でない場合は、指定される日までに学校教育課へ提出する。

③ 物品検査対象教科等の「備品検査一覧表(様式第2号)」の写しを作成し、指定される日までに学校教育課へ提出する。

(7) その他

① 監査は、学校長はじめ全職員で受けるものである。

② 監査の「参考資料」は、通常、教頭が作成する。

③ 備品監査にあたって留意すること。

ア 備品監査がスムーズに行われるよう、各部屋の鍵、備品点検表を持参し、質問にはすぐ答えられるようにする。

イ 金庫内の物品についても確認するので、鍵の管理者やUSBメモリー等の保管状況についても確認しておく。