(1)義務教育
① 義務教育制度
学校教育法第38条により、市町村は、小学校の設置を義務づけられており、同16条により保護者は子女を小学校へ就学させる義務を負っている。
② 義務教育の期間
義務教育の始期は、学校教育法第17条により、子女が満6才に達した日の翌日以降における最初の学年のはじめとされている。
小学校の学年の始まりは、学校教育法施行規則第3節第59条に、4月1日と定められている。
中学校への入学は、学校教育法第17条により、小学校の課程を終了した日の翌日以後における最初の学年のはじめである。
日本では、教育基本法第5条により9年間の普通教育が義務づけられているが、学校教育法で、義務教育は、満15歳に達した日の属する学年の終わりまでと定められている。したがって、満16歳の子女は学齢児童生徒でなく、小・中学校へ就学させる義務はない。
③ 小・中学校への就学
義務教育は住所地の市町村により行われるのが通常であるが、保護者は、必ずしもその子女を地方公共団体の公立学校に就学させる義務があるわけでなく、国が設置する国立学校や学校法人が設置する私立学校を選択する自由が認められている。
市町村立学校への就学には、指定学校変更・区域外就学を除いては保護者が就学の承諾を得る必要はないが、国立や私立の小中学校への就学についてはその学校の許可が必要であり、かつ、保護者は、その学校の許可を証する文書を添付して住民票のある市町村の教委にその旨届け出る必要がある。
④ 市町村の就学事務
保護者が、子女を義務教育諸学校に入学させることを「就学」というが、公立小中学校の場合、入学の手続は、主として市町村教育委員会が行うことになっている。市町村教育委員会が管理・執行しなければならない就学事務には、「学校教育施行令により」学齢簿編成・入学期日の通知・学校の指定、変更・就学義務の猶予、免除に関する事・区域外就学・出席の督促等となっている。
⑤ 就学事務の執行
就学事務は、国から市町村に機関委任されており、その執行については、文部科学大臣、都道府県教委の指示監督を受けることになっている。
就学事務は、きちんとした手続を踏むのは大事であるが、一番重要なのは、該当の児童生徒の教育を受ける権利の保障をすることである。
子どもを取り巻く環境は近年とみに複雑になっている。個々のケ-スによっては、「教育的な配慮」での運営もありうるが、必ず学校長を通し市教委の指示を受けて事務処理を行うようにする。
